澳門(マカオ)のカジノブログ:5
その異様な雰囲気の中に交じって、不気味な黒眼鏡の男がゆらりと現れて、ニカッと笑いました。彼は「君は日本人かい?」と声を発しながら、駆け寄ってきます。白くて垢じみた、ふた回りも大きいセーターを着た年齢不詳の男。それはいつぞや澳門(マカオ)のカジノで邂逅してそうな、どこにでもいそうな青年です。彼は海喜(かいき)という名前のようです。
これから開かれるのは妖怪たちの宴。狭い谷底に人々の欲望が渦巻く五反田にある怪奇旅館をふと思い出しました。この混沌たる有様。私は眩暈を感じました。
「今から始まるのは、過酷かつ命に関わる大勝負だ。ドリアンアイスという食べ物を知っているかい?脳天に突き抜ける刺激臭がする食べ物だ。こいつを食べる。今夜、変わり者で有名なベネ氏がここに現れて、参加料5,000HKDで大喰い勝負に参加できるんだが、彼に勝てば20倍の金額をもらうことができる」
海喜氏はまたもや小声で教えてくれました。